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第72回:「経理の年次業務」について(上半期 4月~9月)

2018年10月11日

今回の経理トピックは、経理の年次業務について(上半期:4月から9月まで) ご紹介いたします。

3月決算の株式会社を例に、今回は上半期の業務についてご説明いたします。
中には年に1度の業務もありますので、年間スケジュールを把握し必要に応じて税務および労務の担当者と連携を取りながら業務遂行していくことが必要です。
また、会社によっては年末から5月の確定申告・納付までは複数の業務を同時進行で行うことがあります。期限が設けられているものが結構ありますので、進捗状況を常に把握し、遅れや漏れの無いよう進めていくことが重要となります。
注)申告期限・納期限が土曜日、日曜日、祝日の場合は、その翌日が期限となります。

4月

  • 決算整理仕訳と財務諸表の作成、年次決算確定
    月次の試算表をまとめた年間の試算表から決算整理仕訳を行い、決算整理後の試算表を作成します。
    決算整理仕訳では収益、費用の見越し・繰延べ・減価償却費の計上など行います。
    また、期中の未処理箇所や仮勘定で計上していた項目についてはクリアにする必要があります。
    決算整理仕訳後の内容をもとに財務諸表の作成を行い、年次の決算を確定させます。

5月

  • 前期分の法人税、法人住民税、法人事業税、消費税の確定申告と納付
    →原則では期末から2か月以内の申告となります。届出により申告を延長することは可能ですが、納付の延長はできませんので注意が必要です。納付が遅れた場合、利子税や延滞税がかかります。
  • 主総会の招集
    →株主へ開催のお知らせを行います。
  • 自動車税の納付

6月

  • 株主総会の準備・開催
    →会社の規定に則り開催。
    開催前や決議後に必要な手続きがあれば行う(総会資料などの準備、議事録の作成、役員変更手続き、配当金の支払など。)
  • 固定資産税・償却資産税の納付(1期)

7月

  • 源泉所得税の納付(※納期の特例の適用を受けている場合、7/10まで)
    →原則では、給与などで支払った月の翌月10日までに納付しなければなりません。
    ただし、給与の支給人数が常時10名未満の場合、税務署への申請書提出により源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を半年分(1~6月分を7月、7~12月分を翌年1月)まとめて納めることができる特例があります。
    また、期間中に賞与支給はありませんでしたか?給与は毎月のことなので抜けることは少ない
    ですが、賞与は見落としがちですのでご注意ください。

その他経理業務ではありませんが、社会保険の年次手続きについて参考までにご紹介いたします。

  • 社会保険(健康保険・厚生年金保険)の 『被保険者報酬月額算定基礎届』
    →7月1日現在で加入しているすべての被保険者及び70歳以上被用者へ4~6月に支払済の賃金を年金事務所へ7/10までに届出。
  • 労働保険料の年度更新と概算保険料納付
    →前年4月1日から当年3月31日までの1年間(これを「保険年度」といいます。)を単位に計算し、前年度に概算納付した保険料を確定させ、今期分の概算保険料を計算し所轄労働基準監督署または所轄労働局へ7/10までに届出と納付
  • 『賞与支払届』 の提出
    →賞与支給した企業では健康保険・厚生年金保険の毎月の保険料と同率の保険料を納付することになっており、支給日から5日以内に年金事務所へ届出。

8月

  • 消費税の四半期申告及び納付(年4回納付の場合)

9月

  • 固定資産税・償却資産税の納付(2期)

3月決算の企業では7月~9月頃にかけて比較的業務が落ち着く時期となります。
その間は前期資料の整理や年末年始作業の準備をする、休暇を取りリフレッシュする、知識のブラッシュアップに充てる、などして年末からの繁忙期に備えていきます。(下半期へつづく)