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第63回:「手許現金管理」について

2018年5月10日

今回の経理トピックは手許現金管理についてご紹介いたします。

皆様の会社では小口現金としてどのくらいの金額を手元に置いていますか?
手許現金はすぐに使えるためとても便利ではありますが、紛失や盗難のリスクが高く、また管理に非常に手間がかかるものです。

◇現金で経費の支払や精算をする場合は、

  1. 領収書を受け取り金額の確認
  2. 間違いなく現金を出金
  3. 帳簿に記帳
  4. 帳簿の残高と実際の現金有高が一致しているか確認

という工程が必要になります。
帳簿の残高と実際の現金有高が違う場合には、原因を調べなければなければならず容易な事ではありません。
「③帳簿に記載」する工程に誤りがある場合は、時間をかけて領収書と帳簿を再度照合することでミスを発見できますが、問題なのは「②間違いなく現金を出金」する工程にミスがあった場合です。
現金での出金の場合、出金した金額に誤りがなかったかを調べる手段はなく、原因を明らかにすることは不可能です。
何時間もかけて帳簿を確認したにも関わらず、結局原因は不明のままということが起こり得るのです。

◇小口現金管理から預金管理へ

上記のような事が起こらないようにするには、できる限り小口現金での支払を減らし、預金口座で出金を管理する方法が有効です。
例えば、

  1. 経費(運送業者など)の支払い→振込や口座引落へ変更
  2. 社員の経費精算→振込へ変更

などです。
上記の2点を変更するだけでも、

  1. 管理者が帳簿に記帳する手間が減少する
  2. 管理者の都度の残高確認が減少する
  3. 預金明細にて記録が残り、間違えた場合でも明確にわかり翌月修正等が可能
  4. 紛失や盗難のリスクが減少する

このような多くのメリットが得られます。
社員の経費精算を振込にする場合、別途振込手数料がかかってしまいますが、これも給与と同時に振込む事で解決します。

◇現金管理について重要なこと

どうしても手許現金を置いておく必要がある場合は、下記のような管理と運用のルールをきちんと定めましょう。

  1. 現金管理者を決める
  2. 立替経費精算のルールを決める
  3. 手許現金の保管額を決める
  4. 残高確認は出金の都度行い、月末は2人以上で確認

特に現金残高管理は省略せずに、お互いの信頼のためにも、必ず月末は管理者と第三者が現金有高と帳簿残高があっているか確認しましょう。
また、帳簿残高と現金有高が一致しない場合、そのまま放置せず必ず原因を明らかにしましょう。
原因が明らかにならない場合は、必ず上司に報告しましょう。

現金管理者は会社のお金を管理するという事で慎重に取り扱っています。
それでも出金が多ければ多いほど残高があわない可能性も高くなってしまいます。
管理者のために、また取引を明確にするためにも現金管理の改善を検討してみてはいかがでしょうか?